Saka Tadasi: Esperantaj sinonimoj por japanlingvano

作文のためのエスペラント類義語集

著者:阪 直

発行:JEI

初版:200041

 

はじめに

 この類義語集は、日本語のあるひとつの言葉に対して複数のエスペラントの語句が対応する場合、そのうちのどれを選べばよいのか分からないという、学習者の作文上の悩みを解消する一助となることを目指しています。

 類義語は多くの場合、その意味が重なる部分があって、それぞれの語義の差を抽象的に説明するのはかなり難しいことです。ひとつの方法としては、抽象的な説明や定義のかわりに、できるだけ多くの用例を挙げることによって、その語が使える範囲やその類義語との意味の重なる部分や差異を浮かび上がらせるという方法があります。もともと単語というものは、文脈の中でこそ一定の意味をもつものであることを考えれば、この方法が正しい方法といえるでしょう。しかし、この方法では、語義の差異を一読して知るということができないため、初級・中級の学習者にとっては使いにくいという欠点を伴います。そのため、この本では敢えて各語に対して定義づけを行いました。その際、各語の共通部分にではなく異なる部分に目を向けた説明をしているので、ときには狭義に過ぎる説明があるかもしれませんが、これは初級・中級の学習者の作文に役立つには、そのほうが分かりやすいという考えに基づいています。この本では触れることができかった類義語の意味の重なる部分や、単語の周縁部分の微妙な意味あいについては、学習が進んで読む量が増える中で、学習者自身が習得して身につけてゆくものでしょう。

 日本語とそれに対するエスペラントとの訳語は、完全に対応していないことが多く、作文のときに注意しないと、読む人にはまったく違うイメージや概念を与えて誤解の原因となることがあります。この類義語集の末尾にはそのような語句をまとめ、「間違えやすい語句」として掲げておきました。また、作文に役立つように、巻末の索引は特に日本語の部を充実させました。

 この本の執筆に当たっては、国内外の多くの諸先輩の辞典や著作を参考にさせていただいたので、それらの著者の方々に対して深い感謝の意を表します。

2001年1月

阪 直

コメント・トラックバックは受け付けていません。