安達 信明: ニューエクスプレス エスペラント語

ニューエクスプレス エスペラント語

著者:安達 信明

発行:白水社

改版:2008年10月10日

 

はじめに

 このエクスプレス・シリーズで初めてエスペラント語の入門書を出してから、早いもので20年の歳月が流れました。日本人なら成人式を迎える年齢になります。特定の民族語としての歴史を持つこのシリーズの他の諸言語とは異なり、ザメンホフいう個人によって1887年に産み落とされた「計画言語」エスペラント語は、少し変わった言語であると言えるでしょう。コミュニケーションの重要な手段であるはずの言語が、お互いに異なるためにできてしまった壁を克服する、という志を持って生まれてきたという意味でもエスペラント語は個性的な言語です。また産声を上げて以来、常に過去を見据え、現在を踏まえ、そして平和な未来を志向する言語であるという意味では、人類にとって文字通り「希望の言語」であるとも言えるかもしれません。

 エスペラント語というと、人の手で作られた言語という意味で人工的な言語ではないかと先入観を持つ方がいるかもしれません。しかし「文法規則に例外がないという一点を除けば、言葉の仕組みも言葉としての響きも、全く普通の民族語と同じような自然な言語です。これは本書でCDを聞きながら少し勉強をして頂ければ、すぐお分かり頂けることだと思います。また、エスペラント語は決してすでにある民族を押しのけ、それに取って代わろうというような言語ではありません。全ての人にとっての「第二言語」として、規則的で学びやすく、言葉の違いによる壁を克服するための言語なのです。

 この新版では旧シリーズのものに全面的に手を入れました。とは言え、語学書としての基礎には時を超えて通底するものがありますし、紙幅や行数指定等による制約もありますので、特にテキスト本文の改訂ではあまり無理をせず、新版の枠組み内で必要と思われる範囲に留めてあります。旧版では財団法人日本エスペラント学会を始め、各方面のご協力を頂きました。本書にいくらかでも良いところがあるとすればそうした方々のおかげです。そして旧版初版の時よりずっとお世話になっている白水社編集部の稲井洋介さんに、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 最後に、エスペラント語に目を止め、今この本を手に取って下さっている読者の方に心よりお礼を申し上げます。

2008年8月  安達 信明

広告
Both comments and trackbacks are currently closed.